以前は、会社の税金対策に”給料”が注目されてきました。
確かに、給料も経費にできるので、多くすれば税金対策に。
社員側にとっても、給料が増えるというのは嬉しいことでしょう。
しかし、平成30年以降について上記では損してしまう可能性が。
むしろ給料は減らして、福利厚生を手厚くした方が税金対策に。
社員側にとっても給料を減らされても十分なメリットがあるのです。
今回はなぜ会社の税金対策に、給料を上げるべきでないのかご説明します。
むしろ給料を減らし、福利厚生を手厚くすべき理由についてもまとめています。
▶︎目次
1.法人税は減少傾向にある
”給料を上げるべきでない”、経営者にとっては非常に嬉しい提案だと思います。
では、なぜ会社の税金対策として給料を上げるべきでないのかご説明しましょう。
中小法人の税率は15%から
これまで法人税の税率というのは40%ほどと大きなものでした。
例えば、1,000万円の利益があったとして、400万円は税金です。
「税金のために働いているのか…」と腹立たしい思いもあったことでしょう。
実は、2018年現在、法人税の税率が大幅に変更になりました。
中小法人(資本金1億円以下)の税率は15%から。
中小法人以外の税率も23.4%と以前の半分近くにまでです。
つまり、1,000万円の利益があれば150万円(15%)のみということ。
以前のように、儲けるほどに税額がのしかかることはなくなった訳です。
給与を増額すると損するばかり
法人税は変更されましたが、所得税についてはそのままです。
所得税は給料に合わせて税率の上がる”累進課税”が適応されています。
- 195万円以下…5%
- 195万円超330万円以下…10%
- 330万円超695万円以下…20%
- 695万円超900万円以下…23%
- 900万円超1,800万円以下…33%
- 1,800万円超4,000万円以下…40%
- 4,000万円超…45%
日本の平均年収は420万円と、社員で900万円を超えるのは珍しいでしょう。
しかし、経営者(社長)や役員の給料が900万円以上というのはよくあります。
もし900万円を超すと所得税は33%に、法人税の税率を超えてしまうのです。
ただ税金対策と給料を、特に経営者などの給料を上げるべきでないのは確かです。
2.給料ではなく福利厚生で対応する
法人税の引き下げ、所得税の税率から経営者などの給料を上げるべきでないのは分かりました。
では、会社の税金対策としても、社員の給料まで上げるべきでないのはどうしてなのでしょうか?
福利厚生費は経費に計上できる
社員の給料というのは1度上げてしまうと、不景気になっても下げるのは難しいもの。
「なんで給料が下がるの…」と会社が不景気でも社員にはあまり自覚がないため。
いまだに”不景気”とされる経済状況において、不用意に給料を上げるべきではありません。
そこで、会社の税金対策として注目したいのが”福利厚生費”です。
福利厚生とは雇用保険や健康保険、労災保険などの法定内のもの。
家族手当や交通費、住居手当や保養施設、介護支援など法定外のものなど。
特に注目したいのは”住居手当(家賃補助)”による福利厚生です。
というのも、福利厚生費というのは経費として計上でき、税金対策にできます。
社員の給料を増やさずとも、福利厚生を手厚くすれば十分な税金対策になる訳です。
社員にとってもメリットが大きい
社員側にとっても、福利厚生を手厚くすることはメリットが大きいと言えます。
例えば、住居手当(家賃補助)として毎月3万円を支給したとしましょう。
給料(手取り)が毎月3万円、単純計算で年間36万円も増えるのです。
ただ、社員によっては給料が増えることで、所得税も増えて損してしまうことも。
であれば、住居手当を支給する代わりに、その分だけ給料を減らすという手も。
見た目の給料は減ってしまいますが、住居手当分で相殺できています。
その上、会社としては経費を上手に増やし、税金対策もできるということです。
3.まとめ
今回は、会社の税金対策に給料を上げるべきでない理由についてまとめてみました。
給料を上げるべきでない理由としては大きく2つ。
- 法人税の税率が大幅に引き下げられた
- 福利厚生費でも十分な税金対策になる
景気がいいのなら別として、不景気とされる現状において給料は上げるべきではないです。
ぜひ、紹介した内容を参考にし、会社の税金対策として何を選択するか検討してください。